窓際族は勝ち組?閑職に追いやられるのがうらやましいとかありえない
私は窓際族を実際に体験しました!
きっかけはボランティア休職制度を使って長期休職をしたことです。
長期休職することが決まり、後任への引継ぎが終わると、実際に休職に入るまで3ヶ月間は恐ろしく暇な日々だったのです。
会社には行くのに仕事が無い、それは俗に言う「窓際族」さながらの日々でした。
窓際族(まどぎわぞく)とは、日本の企業や団体の職場において閑職に追いやられた、主に中高年の社員・職員を指す言葉。
上述の通り、「窓際族」とは基本的には悪い意味で使われることの多い言葉ですが、一方で最近では若者達の間で、
窓際族こそ勝ち組ではないか?
閑職に追いやられるとかむしろうらやましい!
といった見解もあるようです。
窓際族はサラリーマンの「勝ち組」なのか? 「うらやましい」「その生き方が正しい」の声
キャリコネニュース様より引用
確かに窓際族はオフィスでろくに仕事もせずに、定時の鐘が鳴るや否やPCの電源オフしてそそくさと帰路につき、ライフワークバランスの整った、一見すると好条件な働き方に思えるかもしれません。
しかし、その実態はそんなに生易しいものではありませんでした。
ひょんなことから20代にして窓際族を経験した人間として、その実体験を基に感じたままの窓際族について解説します。
私が20代で体験した窓際族の働き方と条件
まず、私が体験した窓際族的働き方の条件をおさらいします。
先に言っておくと、非常に良い条件でした。
窓際族体験期間
後任への引継ぎが完了してから実際に休職期間に入るまでのたったの3ヶ月間限定です。
海外ボランティアとして派遣されることが決まっていたので、後任への引継ぎが終わった後は新しい案件が来ても私が手を出すことはありません。
なのでこの期間はまったく仕事がありませんでした。
たまにアドバイスを求められたりはしましたが、たかが知れています。
毎朝受信するメールも、社内の手続き的なものか、後任のCCで入ってくるものだけ、という状況です。
仕事以外にやるべきこと
仕事はありませんでしたが、仕事以外にやるべきことがありました。
それは、スペイン語の勉強です。
ボランティアとして派遣される国がスペイン語圏の中米に位置するグアテマラという国だったので、スペイン語の勉強はこの時期、死活問題でした。
「仕事以外にやるべきことがある」というのは精神を健全に保つ上でとても重要な条件の一つです。
その他の好条件
会社は都心に位置していたので、徒歩圏内にカフェや本屋さん、ファミリーレストラン等の商業施設に囲まれていました。
人もたくさんいたので、「他人にまぎれることができる」という意味では周りの目を気にせずに過ごしやすい環境でした。
また、会社まで徒歩20分程度の場所に住んでいたのも大きかったです。
仕事がないのにあの満員電車に毎朝揺られるなんて、ちょっと耐えられない気がします。
有給休暇がある程度残っていた、というのもポイントです。
これらの好条件がそろった上での窓際族体験だった、ということを前提に実態について解説します。
窓際族は勝ち組じゃない!暇で辛い日々
結論から言うと、窓際族が勝ち組だなんてまったく思いませんでした。
暇であることを辛いと思ったことは後にも先にもこのときがはじめてです。
どれだけ暇だったかというと、実際に当時の1日のスケジュールをご覧ください。
窓際族の1日のスケジュール:
8:30 | 始業 |
~
8:40 |
朝のミーティング 同じ課の人のスケジュールやプロジェクトのことを聞くフリをして、自分の番になったら「特に何もありません、終日社内にいます」と言うだけの作業 |
~
8:50 |
メールチェック 受信ボックスに入っているメールは10件程度で、しかもそのほとんどがCCに入れられただけのメールで特に返信が必要なものではない。 |
~
17:00 |
本日も一日お疲れ様でした |
大げさではなく、本当にこれだけです。
始業からおよそ20分でその日の仕事が終わり、そこから定時まで何もすることがありません。
自分がバリバリ働いていたときは、就業時間中にもかかわらずネットサーフィンしたり、喫煙所に篭ったり、会社のパソコンでフリーセルしたり、そんな窓際族のおじさんたちの行動が理解できませんでした。
でも、今ならわかります。
それほどまでに閑職に追い込まれた窓際族は暇なのです!
私の場合、上述のとおりの当時はスペイン語の勉強に注力していたので暇な時間を有効活用する手立てがあった分マシな方です。
ただ、ずっと職場でそのような勉強をするのも気が引けますし、あからさまに勉強するのも周りの目が気になるので、人が近づいてきたらパソコンの画面(何も無いデスクトップ)を見つめて無意味にクリック音をカチカチさせるようにしていました。
それでもやっぱり人目が気になるので、外出は必須です
そこでトイレに行くことを装って会社から出て、近くのカフェやファミリーレストランで過ごす時間が多くなりました。
コーヒーを飲んだりお散歩に出かけるなどして外の空気を吸いに行く時間がないと、窓際族的な働き方が伴うこの苦痛には耐えられません。

サラリーマン
それもまた、甘い考えです。
窓際族にとって有給休暇はいくら消化しても足りないくらい暇なのです!
実際私は、その3ヶ月間のうちに20日間以上の有給休暇を消化し、それでも上述のような暇な時間を会社で過ごすことを余儀なくされたのです。
はっきりいって全然足りません!
裏を返せば「仕事が無いのに会社に行かなければならない日」が相当以上あるということを覚悟しなければならないのです。
これはかなりのストレスです・・・
会社から徒歩20分のところに住んでいた私でもかなりのストレスでした・・・
勝ち組だなんてとんでもない!
これがまして、仕事の都合で閑職に追いやられたおじさんだったら・・・
会社まで電車で1時間以上かかる場所から通っていたら・・・
子供もいてローンして買った持ち家もあるのでやめるにやめられない状況だったら・・・
そのような日々が何年も続くとしたら・・・
想像するだけでも恐ろしいです。
結論!窓際族が勝ち組なんてとんでもない勘違いです
当時を振り返った感想を一言で言うなら、
二度とあの頃には戻りたくない!!
です。
3ヶ月の期間限定で満員電車に乗る必要もなかった、そんな恵まれた条件下で体験した窓際族の働き方ですが、予想をはるかに超える苦痛でした。
実際に私が会社で見た窓際族のおじさんたちは、お世辞にも幸せそうには見えませんでした
ある人はそれまで静かにフリーセルをしていたと思いきや、ちょっとしてミスをした事務の若い人に対して突然、狂ったように怒りをぶちまけていました。
窓際族の多いフロアのトイレはいつも個室が埋まっています。
喫煙所にこもっているおじさんの目は死んだ魚のようでした。
抱えきれないほどのストレスは彼らの精神を蝕み、彼らからある種の神経を削り、いつしか本人の気づかぬうちに人格すら変えてしまっているのではないか、とさえ考えてしまいます。
私が経験した限り、窓際族 = 勝ち組という方程式はまず成り立ちません。
窓際族とは、仕事がないのに会社に行かなければ行けない状況が長期間続く状態のことを指します。
なので決して、会社で何かミスをして閑職に追いやられてしまったおじさんだけではなく、会社の事業が振るわなかったり、仕事が全然ない部署に配属されてしまったりと、誰もが窓際族になる可能性を持っています。
もし、窓際族的な働き方が自分の身に降りかかるようなことがあれば、真っ先に転職を考えることをお勧めします。
暇なのに給料がもらえるなんて勝ち組だ、などと考えているうちに、その環境に麻痺してしまうと、それこそ取り返しのつかないことになってしまいます。
私は結局、ボランティア休職が終わってからはこの会社に復職せず、退職して別の会社に転職する道を選びました。
その選択は間違いではなかったと確信しています。
常に自分の成長を意識して働く環境を選ぶことで、窓際族になるリスクを回避することをお勧めします。
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