営業が辛いのは心から売りたい製品が自社にないからだ

サラリーマン
私は一部上場企業のメーカーで営業職を8年ほど続けていました。
営業の仕事は好きだったし、自分の仕事が会社の利益に直結する喜びややりがいを感じることが楽しいとも思いました。
一方で営業が辛い、と、営業のことが心底嫌になる、そんなことを考えたタイミングがあります。
でもそれは決して、
上司やお客さんに恫喝されたときでもなければ、
オフィスで徹夜でしたときでもなければ、
ノルマが達成できなくてヘコんだときでもありません。
心底「営業辛い」となってしまうのは自社製品を心から売りたいと思えなくなってしまったときだ
心から売りたいと思えない製品とは具体的にどんなものか?売りたいと思えなくなる瞬間はどんなときか?
私の経験から一つ一つ、言語化したいと思います。
これらを言語化することによって、転職の際に面接で志望動機や退職理由を述べるヒントにもなるからです。
他社と差別化できていない製品の営業は辛い
自社の製品を心から売りたいと思えないのは、そもそも自社の製品が他社と比較して差別化できていない、からです。
スペックも似たり寄ったり、納期も似たり寄ったり、価格も似たり寄ったり・・・
そんな製品のカタログを持ってお客さんのところにいって、一体何をPRしろというのか?
あの手この手でPRしても、他社と相見積もりをとったら大した差がないことなんてすぐにバレちゃいます。
独自の価値がない製品をPRするのは辛い・・・
この製品を買うとこんなすばらしい未来が待っています!
お客さんの悩みを解決する一番の方法は当社の製品です!
そんな風に、「製品によってお客さんにもたらされる価値」を自信を持ってPRできるような営業ができたらどれだけ楽しいだろうか。
製品の欠陥・トラブルを隠しながらする営業は辛い
技術的に差がないだけならまだ幸運なのかもしれません。
現実はもっと残酷で、実際には競合他社より劣った製品を扱うこともあるでしょう。
でも、だからといって、

サラリーマン
なんて口が裂けても言えないのが営業マン。
どんなに性能が他社より劣っていても、

サラリーマン
といわなければいけません。
心に小さな嘘をついて・・・
それだけならまだしも、最悪なのは、自社の製品が他方でトラブルが発生してしまっているケースです。
もしかしたらこの製品がお客さんに迷惑をかけるかもしれない・・・
そんな重大な情報を隠して売り込まなければいけない営業は辛い
小さな嘘も、積もり積もれば大きなストレスになります。
「もしかしたら他社から買った方がお客さんの為になるんじゃないか・・・」
という本音は隠し通さなければなりません。
これは、一つの組織に所属することの宿命なのかもしれません。
疲弊した工場を見ながらの営業は辛い
メーカーで営業をしていて楽しかったのは工場の人たちとの人間関係です。
どんなに辛くても、工場に働くたくさんの人たちのためだと思えば、喜びの方が大きくて営業の仕事も辛くはありませんでした。
でも景気が悪くなると、人材が流出したり、新入社員がなかなか配属されなかったりして人不足が深刻化します。
人がいなくて仕事が回らない・・・
毎日残業が続いて家に帰れない・・・
また若い人が鬱になって・・・
そんな訪れるたびに疲弊していく工場を見ながらの営業が一番辛い
自分が受注して工場の負荷を増やすことでより一層工場の人たちが疲弊していく・・・

おじさん
と、上司に怒られたこともありました。
確かに会社の利益を考えたらそうなのかもしれません。
でもそれぞれ人たちの生き方や幸福度に焦点をあてたら寧ろ下手に延命なんてしない方がいいのでは、とも思ったり・・・
ガチで全然家に帰れていない工場の人たちをみたり、会うたびにやつれていく工場配属の同期を見たりすると、そんな風に考えてしまいます。
>>>メーカー営業のやりがいは日本のものづくり技術に触れること
営業が辛いのは心から売りたい製品が自社にないからだ
以上の経験から導きだした答えが、
営業が辛いのは心から売りたい製品が自社にないからだ
です!
特に一番辛いのは疲弊した工場を見ながらする営業ですね。
自分の案件を担当していた工場の技術者が過労で倒れてしまった、なんてこともありました。
仕事をすることによって幸せになるのは、お客さんだけではなく、社内の人たちも一緒なはずです。
誰かの幸せにつながらない、それどころか誰かの不幸につながる、そんな営業はもうたくさんでした。
「心から売りたい商品が自社にない」という気持ちがここまで達したら営業はやめるべきだと思います。
結局私も、この会社を退職し、別の会社に転職しました。
転職したらびっくり、扱う製品が変われば競争力も全然違うし、業界が変われば市場の成長スピードもまったく違います。
もちろん、工場の雰囲気もガラリと変わりって、競争力を保った工情は士気も高い。
私もまた、この工場のためにがんばりたい、という思いが蘇ってきました。
営業という仕事そのものが嫌いになったわけではないんだな、と、そのとき気づかされました。
会社を変える、ほんの少し踏み出した一歩が、一つの会社に勤めただけでは見ることのできない景色をこんなにもたくさん見せてくれるなんて思いもしませんでした。
営業が辛い・・・
そんな悩みを持つあのときの自分と同じような境遇の人たちの参考になればと思います。
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